ワンプラネット・ペーパー®が生まれた背景
ワンプラネット・ペーパー®の取り組みは、スウェーデン出身の環境コンサルタントであり協議会事務局会長でもあるPeo Ekberg(ペオ・エクベリ)氏と妻の聡子氏が運営する株式会社 ワンプラネット・カフェの3つの事業の中の一つです。
その始まりは2006年、Peo Ekberg(ペオ・エクベリ)氏夫妻が、素晴らしい自然と野生動物の世界が広がるザンビアのサウスルアングワ国立公園に旅行で訪問したことがきっかけでした。
当時、現地をガイドしてくれた人物が暮らす場所がエンフエ村で、この地域は素晴らしい自然環境に包まれている一方で、地域や村自体の貧困問題は深刻でした。
違法な森林伐採のために、女性たちは遠いところまで、料理などに使う薪を取りに行かなければならい現実があり、時にその途中でハイエナやライオンに襲われることがあるといいます。一方の男性に関しても、家族を義うために違法な森林伐採や密猟者にならざるを得ないという貧困の実態を知り、仕事をつくることで、環境問題を同時に解決できないかという考えに至ったのでした。
この問題に取り組むために2007年から村の人々の教育支援、職業スキル研修などの支援が始まりました。さらに、支援を継続していく中で、もっとより直接的に雇用を生み出す事業ができないかと模索していた時、ご自身で作っていた一枚の名刺がきっかけとなりバナナの繊維から紙ができるということを知ったのです。
紙の原料をバナナ繊維にした理由
バナナペーパー開発のきっかけとなった課題
●世界で消費される紙の量は毎日100万トン以上(*3)
●その約90%が「木」が原料(*4)
●特に日本人一人当たりの紙の使用量は年間200kg以上(*5)
●世界の経済発展に伴い紙の消費量も増加の一途をたどり、その結果、木の再生が追いつかなくなり世界では毎年日本の面積の約4分の1にあたる広さの森が消失(*5)
出展:(*1)認証: WFTO 世界フェアトレード機関 2020/(*2)生分解性: コンポスト実験 日本 2019 (4ヶ月以内に土へ) /(*3)Statista 2019 /(*4)Market Pulp Association 2007 /(*5)FAO 国連 2020
上記の他にも森にすむ絶滅危惧種への影響 (トラ、ゾウ、オランウータンなど)、生態系の破壊など、さまざまな環境問題が起きています。また食料、燃料、現金収入などを森林資源に頼る途上国の人々にとって、貧困問題の深刻化にもつながっています。これらの問題の解決策の一つとしてリサイクルペーパーやFSC認証の紙が開発されましたが、紙が環境や社会に貢献できることはもっとあると考えています。そこで新しい時代の紙として誕生したのが、生産者の顏が見える紙であり、国連によるサステナビリティの3つの柱 「環境、社会、経済」すべてに配慮した「ワンプラネット・ペーパー®(One Planet Paper ®)のバナナペーパー」です。
バナナペーパー開発へのヒント
●すでに日本国内でバナナペーパーで名刺を作っていた会社との出会い
●エンフウェ村に広がる広大なオーガニックバナナ畑との巡り合い
●バナナは世界の約125ヶ国で栽培されている栄養源で多くの人々に親しまれている
●バナナ収穫時に新しい果実を育てるために切り落とし廃棄された茎から紙の原料となるバナナ繊維を採取できることを知った
●一般の木が10~30年(2006年当時の調べ)という再生再生期間に対し、バナナは1年以内に再生可能ということ。つまりバナナからは、サステナブルな仕組みの中で紙をつくることができるのです。
あなたの紙を作っているのは誰ですか?
今お使いの紙が作られている背景には、どんな人がどんな生活をし、周囲の自然環境にはどんな生きものが暮らしているでしょうか。「顔が見えない紙」から「顔が見える紙」へ切り替えませんか。「ワンプラネット・ペーパー®(One Planet Paper ®)のバナナペーパー」は、環境面、社会面で多くの利点があり、世界が目指す「SDGs」(持続可能な開発目標)の17目標すべてにつながっています。フェアトレードの基準に従い、サプライチェーンでのトレーサビリティ(顔が見える紙づくり)の徹底を目指しています。
協議会プロデューサー企業である株式会社 ワンプラネット・カフェは、2016年に日本初のフェアトレード認証の紙プロデューサーになりました (WFTO – 世界フェアトレード機関)。「ワンプラネット・ペーパー®(One Planet Paper ®)のバナナペーパー」は、あなたとアフリカの人たち、そこに暮らす生きもの、そして世界をつなげるエシカルペーパーなのです。
バナナペーパー事業を支えあうバナナチームの紹介(2020年現在)
アフリカはザンビアのサウス・ルアングワ国立公園近くのエンフエ村で暮らしている貧困層の女性・男性と共にバナナペーパー事業は行われています。メンバーの多くはこれまで長期的な仕事に就いたことがありません。その結果、家族を支えるため、違法の森林伐採や密猟者になることもあります。そこでフェアトレードの仕事として、2011年に村の女性たちと一緒にバナナペーパープロジェクトが始まりました。2020年現在、ザンビアのバナナペーパー工場には、チームメンバー20人と愛犬2匹がいます。私たちは、「スタッフ」ではなく「バナナチーム」と呼んでいます。
バナナペーパーを通じて、暮らしが直接または間接的に支えられています。
バナナチームでは、多様性を重視しています。
性別、年齢、宗教において、差別なくお互いを尊敬しながら一緒に働くことを大切にしています。男女比はほぼ半々、年齢は20代から60代まで幅広く、宗教はキリスト教、イスラム教、民族宗教など様々です。シングルマザーやHIVポジティブのメンバーもいます。
チームメンバー一人ひとりに、様々な人生のストーリーがあります。
彼らからのメッセージを映像でご覧ください。
■ Prince プリンスさん、チームリーダー「最貧困削減と自然保護」
https://youtu.be/UrbjdX1MzZA
■ Florence フロレンスさん 「子どもの教育」
https://youtu.be/4mBMGCltvGk
■ Jonathan ジョナサンさん バナナ農家 「オーガニック農業」
https://youtu.be/jT4-nIaheNI
■ Beatrice ビートリスさん チームリーダー 「安全な水」
https://youtu.be/LqZSmoX7-bM
■ Nickson ニクソンさん バナナ農家 「初めての雇用」
https://youtu.be/AKkwGFNCjhM